近所の紅葉も盛りのこの頃。気づけばもうすぐ師走ですね。
さて、先日入庫した(過去形)?! BCNR33スカイラインGT-R。
お客様にブログに使ってよいでしょうか?と、OKを頂いたにも拘わらず…
随分と時間が経ってしまい恐縮です。(^^;
自分のBNR32型GT-Rのブログも一から作って行こうと思いたち、
過去からの作業写真を集め始めましたが、中途段階で1200枚以上の写真が
ありました! 撮影した自分もびっくり!ですが、ブログ記事にしたいと
思っています。(いつになるかは分かりませんが)(笑)
このR33型も新車から既に22年。
故障や不具合があって当たり前といえば当たり前ですが…
今回、気になる指摘箇所は全5か所。
①ウインカーか点灯するも、ハイフラッシャー状態
(点滅速度が速い)
②運転席ドアミラー開閉作動せず。
③トランク内部雨漏り
④フロントストラットタワーバー下部分錆
⑤ホーンの音に迫力が無い。
ご要望や予算を相談しながら修理を進めさせていただきました。
①ウインカーですが、点灯はしているので球切れでないのは確かです。
通常、後から弄った部分の故障リスクは高くなるので、LED球?! と予想。
中古での購入なのでLEDかどうかは判らないとのことでしたので、
電球周りを調べていったところ、リヤのウインカー球がLEDに替わっています。
ということは…
外付け抵抗(ハイフラッシャー対策)のカシメ式ワンタッチカプラーの接触不良に
より、抵抗値が変わりハイフラッシャー状態となっていました。
参考サイト:ハイフラ防止
今回は抵抗を付け直し、接点向上剤を塗布してOKとしましたが、
出来ればLED球を使う場合は抵抗値に左右されない
デジタルリレーの使用がオススメです。(自分もそうしています)
また、中国製の安価なLEDは接触不良や不点灯などが多くお勧めしません。
②ドアミラー開閉不良ですが、ドア内張を外して電気回路を点検したところ
予想通り、ドアミラー内部の開閉モーターの故障であることが判明。
中古で交換してもまた壊れる可能性が高く、また、今なら新品パーツが
手に入るので新品での交換となりました。
この新品ミラーの部品代は税別43500円でしたが、
最近のアラウンドビューモニター用のカメラ付きミラーでは
なんと!10万円弱もします!! ぶつけないようにご注意ください。
(一部のホンダの車では、ミラーの構成部品がバラで供給されるので
状態によっては部品交換での修理も出来ます。)
③トランク内の雨漏り… ですが、
実はなかなか原因が判りづらい故障でもあります。
この車は過去に他社でテールランプのブチルゴム付け直し&
ウェザーストリップ(トランク外周のゴム)の交換をしたそうですが、
それでも直らなかった⤵ ということです。
塗装面の様子から過去の事故歴を予想して伺ったところ、
この車は過去に左後ろの事故歴(リヤクウォーター交換他)があったことが判明。
パネルのつなぎ合わせ部分のシール(接着剤)の劣化と予想し、剥がしてみると…
結構な錆が発生しています。
本来ならば、リヤクウォーターパネルを交換して錆個所を全部除去&防錆処理すれば
ばっちりですが、それでは莫大な費用が掛かってしまいます。
「雨漏りが止まれば見た目は気にしないよ~」 ということですので、
錆を取り、錆を変成剤(赤錆→黒錆に変えて腐食を防止)処理、
そして日産純正のシール材を塗布しました。
シール剤が乾いたところで洗車機で放水し水漏れ再確認したところ…
なんと! まだ漏れている・・・ トランク内貼りを剥がした状態で
よーく確認すると・・・ ありました。小さな穴。
(写真は裏側から錆を削ったので穴が大きくなった状態です)
今回シールした部分のさらに下流の部分。過去のクウォーター交換に伴い、
排水の流れが滞った部分に錆穴が出来ていたようです。
こちらも同様に錆取り⇒錆変成⇒シール⇒塗装の応急処置を施します。
仕上げの塗装ですが、タッチアップでOKということだったのですが、
自分的に満足できないので、ちょうど在庫にあった似た赤色(R32のAH2)
でサービス塗装させていただきました。
④そして、エンジンルーム内のストラットタワー部分の錆。
かなり進行しています。 出来れば丸ごと交換が理想的ですが・・・
予算の関係もあり、錆の進行を遅らせることを目的に同様の処置を施しました。
錆の除去(削り取り&ブラスト加工)⇒錆の変成⇒シーリング⇒塗装
(パネル合わせ部分はパネルをめくって処理をした後、元形状に戻しました)
こちらもトランク部分と同様にサービスで塗装。
⑤最後に写真がありませんが・・・
迫力の無いホーンは、周波数の異なる2個のホーンのうちのひとつが壊れていました。
社外品のホーンにリフレッシュして迫力のある音に戻り、無事作業終了となりました。
最近特に感じることがあります。
車検整備では、クルマを点検・診断した後におすすめの整備個所等の見積もりを作り、
お客様に予算や優先順位や次回交換時期などを説明し相談させて頂きます。
車が新しいうちはいろいろと手をかけてあげるのですが、年数と共にあまりお金を
欠けたくなくなる方が多いです。気持ちは判りますが、寂しい気分です。
本当は年数と共に手の掛かる個所が発生してきてそれを一周通り過ぎると…
それほど手が掛からなくなるのです(笑)
年数の経ったクルマでも、部品さえあれば(時には流用や修理も)直ります。
(最近のクルマは除く,供給期限の短い電子部品が多くなっていて、
部品自体の耐久性もそれなりに作られていると感じます。)
しっかり手を掛けてあげれば思っているよりもずっと長く乗ることが出来ます。
予算に応じて、まずは錆の進行を止めて置きいずれはフルレストア! や、
新品部品のあるうちに新品部品に交換! や、これは次回に! など
予算や状況に応じて臨機応変に手をかけてあげることが
愛車を末永く可愛がってあげるコツではないでしょうか。
愛車の健康を気軽に相談できる主治医として、お役に立てれば幸いです。
(中にはセカンドオピニオン的目的や、価格比較目的でお電話やご相談を頂く方が見受けられます。
コストを最優先というのは今の世の中のトレンドではありますが、自動車を整備するのは感情を
持った人の手です。思い入れを持って整備に携わるという意味からも、そのような類のご利用は
なるべくご遠慮下さい。)