前々回のブログで印象に残った入庫車について書きます~ と書きましたが、
慌ただしい週が続き今になってしまいました。
その間、新たに印象に残るクルマがいろいろありましたが…
折角なので折を見て順にご紹介します♪
メカ的なヲタク視点になってしまいますがたまにはそんな話題も。(笑)
その① フォルクスワーゲン ティグアン 2.0TFSI
いまや世界の大潮流となったダウンサイジングエンジン
(小さな排気量+ターボで低燃費&パワフルを実現!)ですが、最初に市場に導入したのはフォルクスワーゲンだったと思います。
この車、ティグアンは2000㏄4気筒・直噴ターボエンジンを搭載し様々なセンサーやコンピューターや電磁アクチュエーター類による緻密な制御により低燃費と高出力を実現しているかなり挑戦的なエンジンです。
ただ… 残念ながら弱点も。 あります。
それは… タイミングチェーンが伸びること。
日産マーチで長い間オイル交換をしなかった為にチェーンが伸びてエンジンが掛からなくなったりと、エンジンオイル管理不良による故障は時々あります。が、今回は設計不良だと思います。
スバルのBRZ&トヨタ86も設計不良で大規模リコールが出ていますが、現代の設計ではコンピューターシュミレーションが多用され、設計&開発・期間&コストの低減が図られています。日本のものづくりの原点は徹底的なテストを重ねた上での信頼性にあったと思うのですが… (^^;)
フォルクスワーゲンのエンジンの場合は高圧燃料ポンプの負荷や、直噴ならではの振動、バルブ周りに蓄積したスラッジ(汚れ)による抵抗など… が積み重なってタイミングチェーンが伸びるではと推測します。
タイミングチェーンが伸びると… だんだんと異音が大きくなり、カムセンサー異常を検出し、最後にはバルブとピストンが干渉(エンジン内部部品が衝突)する重篤な事態に!
実際に取り外したバランサー&タイミングチェーンを比べると明らかに伸びています。
タイミングベルトは交換前提で作ってありますが、タイミングチェーンは無交換のつもりの設計なので結構大変です。
今回、手持ちの特殊工具だけでは不足で新たな特殊工具も入手。(次回の活躍が楽しみ♪)
オイル管理がしっかりされており、スラッジ(汚れ)は殆どありませんが、同時交換部品が多く、バラバラにしてから発見する不良個所もあったりします。
この部品は内蔵のワンウェイバルブが劣化しています。今は表面の網が破れたところですが、樹脂の部分が壊れるとワンウェイバルブが効かなくなり、エンジン始動時の異常にもつながります。
万が一のズレの無きよう、何重にもチェックします。
ちなみに… 今回の参考資料は全60ページ、部品発注のやり取りのイラスト等が46ページ。
かなりの数の資料を使いました。
交換したエンジンドレンボルト。 クランク(写真はギヤ)は分割式です。
やっと届いた特殊工具。タイミングの確認もOKでいよいよ完成。
今回は高圧燃料ポンプの交換も行い、なかなか大変な部類の仕事でした。
後日談で、1週間ほど経ってちょっと不調で再入庫。
コンピューター診断の結果は… 電子制御スロットル作動不良。
今回の整備とは直接的因果関係はありませんが、スロットル清掃をさせて頂き一件落着。
現代のクルマは、様々なパーツ&センサーが組み合わさって絶妙な制御で燃料を燃焼させて動いているので結構デリケート。
長年の使用による汚れ等も溜まりやすいので、適切なオイル管理、そして、たまにはエンジン内部やスロットルの清掃などのメンテナンスも必要です。
まとめて書こうと思いましたが、今日はここまで。